大きなお世話

一部で盛り上がってる児童ポルノ撲滅運動ですが、なんと言うか「自分の目から見て同意できる部分と度を越してる部分」が、現実を知らず呼びかけ人の妄想とか偏見に同調しちゃう人たちによって同列に扱われる危険があるな、と言う印象。


具体的に言っちゃうと、アグネス・チャンの「子どもへの性的虐待は犯罪。ポルノを持ってもだめ、漫画を買って読んでもいけないと訴えていくべき」って発言。勿論冒頭の部分は当然だし、故に写真(当然デジタルも含めて)も単純所持を禁止って言うのもまぁ、に異論を唱えるつもりはない。けど、最後の部分はちょっと違うんじゃないか、と思う。野放しで良いとも思わないんで、タバコ自販機のような対策はやってもらって結構だが。ただ、ついでに言っちゃうとアダルトゲームやアダルトコミックが、その種の犯罪を誘発すると言う考えには、自分は全く同意できない。その手のコンテンツの流通量と犯罪の発生or認知件数に相関関係があると実証できてないから。格闘ゲームが流行して、傷害事件って増えた?ゲームセンターでその手のトラブルがあったと報道されたことは何度かあったけど、それは「増えた」証左にはならんよな。
写真は存在自体が犯罪が起きた証になるけど、その観点からは創作物が同列になることはあり得ない*1
ここまで書いていて思ったのは、「大きなお世話」だと感じた部分って、単純にこの呼びかけ人の方々が「自分が見たくないと思うものにフタをさせろ」って事なのかな、と。


日本を支えるコンテンツ産業の、その市場の何割かは「今は全年齢向けに展開してるけど当初の企画はアダルト向け」ってのと関わってる筈で、そこを忘れて悪戯に縛ってしまったら日本経済とか秋葉原(笑)にそれなりのダメージがあると思われ。
政府としては、日本のコンテンツビジネスを世界に持って行きたいと思ってたはずで、この人たちの言いなりになるってことはその流れをいくらか滞らせることになるんじゃないかと思う次第。それこそ大きなお世話か。


記事を読み返しつつ思ったことを。

 署名は専用サイトとFAXなどで受け付ける。具体的な提出先などは決まっていないが、「民意をアピール」するものとして必要に応じて関係機関などに提出するという。

そうそう、こういう場で「民意」って言葉を使われると、「大きなお世話だ」と言いたくなるんだ。スゲェ胡散臭い。
更に言うと、こんな問題では「サイレント・マジョリティ」の声は華麗にスルーされるのね。多分。

 呼びかけ人の後藤啓二弁護士によると、(中略)アニメや漫画、ゲームソフトは「写実的なものに限られる。ちょっと漫画で子どもの裸を描いたからといって規制はありえない」という。
 (中略)「明らかに児童でない人の場合は対象外になると思う」とした。

 記者会見で、公明党丸谷佳織衆院議員は、同党内に昨年12月に発足したプロジェクトチームが東京・秋葉原を視察したことなどを話し、「単純所持の違法化については明るい見通しだが、漫画やアニメは現状のままでいいのか。秋葉原の実態を見ながら、議論を深める必要がある」と話した。

あ、こんな発言してるヒトもいたのね。こういうヒトの発言力が強ければ頓珍漢なことにはならずに済む可能性はあるかも。

 民主党の神本美恵子参院議員は、近く同党内に作業チームを立ち上げ、児童ポルノ問題について具体的な協議を始めると説明。「単純所持の違法化と、架空のものが大きな論点になるだろう。ゲームの中で児童はひどい虐待を受けており、しかも児童は『虐待を受けて良かった』という作りになっている」と批判した。

論点は確かかもしれませんが、その後の部分に事実誤認の気配。頓珍漢なことになるのかなぁ。



そういえば、このところ「準」を含めた強制猥褻って、この呼びかけ人と同世代のオッサン達の報道が目に付くんだが、あれってアダルトゲームとかコミックの影響なんですか?そうでないなら2次元のアダルトコンテンツは犯罪との関連が薄いことになるし、もし犯人がそう言うのの影響を受けたと言うのならむしろそれは「イイ歳の大人がナニをやってるんだ」と言うだけの、関連性という観点からは全くどうでもいい出来事だって事・・・だよな?

*1:野々村秀樹の様な例もあるが、コレは例外と思う。このヒトと同業の名前なら何人も知ってるけど、こんな事件起こしたと聞いたのは彼が初めてだったし。