価値を見出す800円と見出せない600円

まず後者の方から。3人バラバラに販売開始したiPhoneのあっちは、当面見送る方針。
精細になったポリゴンキャラを指して「コレだけでもファンは買う価値あり!」と言うレビューも結構見たが、それ以上に「フリーズする」「落ちる」「中途半端」と言う声が目立つ。
キャラ人気に頼って、完成形と呼べないレベルの商品を買わせて「画面写真では分からないところ」でユーザーをガッカリさせてる辺り、PSでときメモが出た頃とぜんぜん変わってない。
愛花のトコに、元開発者を名乗る人物が「ココまで開発レベルが下がったか」と嘆きのレビューを書いている。最後に「今の若者は‥‥」的な一言が混じってるが、真っ当なものを送り出す気がないように見えるのは自分の目から見ても同じ。
「これから良くなっていく」のはそうかもしれないが、あんまり変わりすぎると「未完成のまま」発売したのと意味として大差ないわけで、それってメーカーの態度としてどうよ?
人柱になってしまった方には申し訳ないが、今の時点で手を出さなくて本当に良かったと思ってる。


このテキストを書きながら気付いたことが一つ。昨年のうちに既に続編の開発はスタートしていたそうで、だとするとこのアプリは「オリジナルのゲームの開発スタッフ」が関わっていない可能性が濃厚*1で、元のスタッフから見れば「他人に任せた」ソフトの出来がダメダメなのは丸っきり以前のままじゃないか!
東京とか大阪ががんばって作ったのを札幌とか名古屋が自社ソフトを劣化移植してたプレイステーションセガサターン時代から成長してないよ。


‥‥まて。どんなのがあったかちょっと思い出してみる。
自分が買ったソフトの移植例だと「スナッチャー」「悪魔城ドラキュラ月下の夜想曲」「ときめきメモリアル」がこの時代。
そう言えばPSP版の「パロディウスPORTABLE」もちゃんとパロディになってたBGMがオリジナリティあふれる別の曲に差し替えられた部分があってガッカリしたが、同時発売だった「沙羅曼蛇PORTABLE」も収録したゲームを知ってる人が見たらガッカリする変更がされている。
あぁ、つまりコレがこの会社の遺伝子なんだ。


話を戻して国民的美少女のアプリ。
要するに、これって「インターネットを利用したオンラインアップデート」と言う手段があるからこそ出来る話なのだけど、そもそもの「アップデート」がバージョン0.9→1.0になるのと1.0→1.1になるのとでは、行為として同じだけど意味するところは全く違う。それを知ってか知らずか(当然前者だと推測してるが)全く同等に考えて完成前の状態を「商品」としたことにガッカリしてるわけだが、自分のサイトを立ち上げた頃に漠然と不安に感じていた「未完成の商品が売り出される可能性」がいよいよ現実味を帯びてきた、と言うことなのかもしれない。


前にも書いた話だが、8ビットゲーム機の全盛期、と言うかPCエンジンの全盛期に、あるゲームの開発者が自分の作ったゲームが売れることを「怖い」と言ったのを当時のゲーム誌のインタビューで見た記憶がある。「売れた本数=デバッグをやってる人数」と言う考えからなのだが、オンラインアップデートの存在になじみすぎた今の開発スタッフでは、おそらくそう言う緊張感はゼロに等しいのだろう。
それ以前のゲームソフトであれば、カートリッジやCDなど、ついこの前までのハードでは製品化されれば後から修正することは不可能だったのだから、間違いが出来ないと言うところでは雲泥の差がある。



もっとも、PCエンジン版の「ときめきメモリアル」ではユーザーへの告知無しにデバッグした修正版をこっそり販売していましたが!*2
幻想水滸伝」もに白い丸シールが張られたパッケージの商品がありましたが、アレは何だったんでしょう。




XBOX360PS3も、この所全然電源が入ってなかったのだけど、USBメモリに対応する*3とのアナウンスがあったXBOX360と、随分前に最後の配信を終えた「まいにちいっしょ」のサービス終了が近いとのメールでの告知があったPS3のアップデートを同時に敢行。


終了後、PSストアを見ると、PCエンジンアーカイブスに「ゲート・オブ・サンダー」の文字が。雷門(笑)


自分がPCエンジンを買おうと思ったきっかけになったゲームだ。実機もソフトも捨ててはないが、モニターには繋がってない。コレまでのPCEAのソフトより高い800円だが、殆ど迷わず*4購入。
ステージ構成をを思い出しつつ、3回目のプレイで難易度ノーマルをクリア。このゲームの難易度設定って高い方にしか振られてなくて、あとはハードとデビル。
まだクリアできるか分からないが、兎に角やってみよう。


で、コレが出たと言うのは単なる思い出と言うだけでなく「CDで発売された」タイトルも配信された、と言う点でかなり重要。
円熟期には殆どのソフトがCDで発売されてたので、コレから配信されるタイトルにも期待が持てる、と言うことになる。そろそろ他メーカーのソフトも配信されるようになってくれないかなぁ。


小島監督が当時全力で当たった「スナッチャー
アーケード版で発生した処理オチが無いせいで、結晶面での復活がアーケードより難しいと言われた「グラディウスII」
ミニゲームまで手を抜かず*5に開発され、良くも悪くも今のコナミの原点とも言える「ときめきメモリアル


コナミがこれを配信したら喜ばしいのだが、無理だろうなぁ。
開発者としての意識レベルが何処まで下がったか、「今のユーザーが」身をもって知ってしまいそうだ。

*1:流石に無関係ってことはないと信じたいが、ゲームでない以上「ゲームに使ったデータ」だけ貰って開発された可能性も否定できないんだよなぁ

*2:ついでに言うと、この会社のやり方にスタッフが会社を辞めたとか、その後会社の評判が下がるような話が随分出てきた。不買運動って声もあったっけ。

*3:でも自分の環境では出番は無さそう

*4:眠ってる機材起こせばプレイできるんだもの。わざわざ買うのもなぁ、と思ったのも事実。

*5:当時のコナミシューティングのエッセンスを濃厚に詰め込んだ1本で、全キャラのエンディングを見た後、半年ぐらい収録されてたミニゲームのスコアアタックシューティングをやってた時期があった。