買い物の基準

声の感じからすると、30代後半から40代前半と言うところだろうか、女性のお客さんからの電話を受けた。
天体望遠鏡の購入を考えてるとの事。ただ、向こうの要望をちょっと聞いて「困ったタイプ」だな、と思った。
一言で言えば、「高倍率=いい望遠鏡」だと信じているフシがある。
購入を検討していると言う商品は、最大約375倍の赤道儀式反射式望遠鏡。ただ、もっと高倍率の物は無いか、と言う。
誰がどんな目的で何を見るつもりなのか、会話の中から判ったことは次の通り。

  • 親戚の小学校4年生(男女は不明)の夏休みの自由研究で、天体観測をさせるのに使いたい。
  • 観測対象として想定しているのは主に月、星座(白鳥座の名前を執拗に繰り返したのは印象的)。
  • 夏休み中定点観測をして、星がどのように動くのかを観察させたい。

使用者の年齢と目的を考えると、適当である気がしない。
そもそも、月を観測すると言っても100倍ほどもあればクレーターまで十分見られるのに、それ以上の倍率に拘っても無意味。星座全体を見るのか、星座を構成する星を見るのかでも必要な性能は違うし、口径が同じで倍率が上がれば像が暗くなるのは光学機器ではアタリマエの現象だけど、それも知らなかった*1
それ以前の問題として、反射式と屈折式の違いすら知らなかった。ましてや赤道儀式とはどういう意味かなんて。
年周運動も機械で追っかけられると思ってた。流石に聞いた事無いんだけど。そんなもの。


会話してよく分かったのは、インターネットでウチの店のページを見つけたわりには、どういう基準で選べば良いかは調べてない*2
自分に知識が無い事を盾にして(いるのかどうかは知らないが)、こちらの言うことを鵜呑みにして振り回されるだけ。
お客さんの指名した望遠鏡が他とどう違うのかを30分ほどかけて説明して*3、更に30分ほどかけてYahoo!ショッピングでの注文の手順を説明。これもヘルプページあるんだけどねぇ。


商品を取り扱ってこそいるけど、専門店ではないところの店員から受けた説明をそのまま信じてしまう辺り、ゲーム脳が広まるのも当然なのかな、とか思った。

*1:だからその事を説明したら、選ぶ基準が倍率から集光率に移った。

*2:更に言えば、その子が天体についてどれほど理解しているのか分かっているようには思えなかった。もし分かってないとしたら、赤道儀を使う意味すら疑問。

*3:説明する側はグーグル先生に手伝ってもらってたのだが、向こうはソレに気付いた様子は無かった