先日のエントリで、目当てで買うことにするかも、と書いた「そっち」なんだけど、冷静に考えたらコレも自分の中では「買わなければならない」と言えるだけの強力な理由にはなっていないことが分かった。
以下理由。殆ど三段論法。
ゲームの立ち位置
まず、このゲーム「銀河婦警伝説サファイア」について理解するには、その背景として頭に入れて置かないといけない要素があります。
1)PCエンジン末期のゲームである
初代プレイステーションやセガサターンの発売から約1年経った1995年11月に発売。既にポリゴンを使用した立体的なゲーム画面が普通に存在していました。と言うか、流行はむしろそっち。
2)PCエンジンアーケードカード専用
PCエンジンのCD−ROMシステムは、主にCDから読み込んだデータを置くためのRAM容量の違いから、次の3つのシステムが存在しました。
- CD-ROM2(シーディーロムロムと読む)
- スーパーCD-ROM2
- スーパーCD-ROM2 + アーケードカード
アーケードカードは、文字通り主にアーケードからの移植に当たり、十分な量のグラフィックデータを扱えるようにする*1ために開発された追加用のRAMメモリです。
スーパーCD-ROM2用のゲームでも、アーケードカードにデータを蓄えてCDの読み込みを減らすと言った利用法も可能でした。
「サファイア」ではこのアーケードカードが必ず必要です。
ゲームの仕様の裏事情
このゲーム、自機や敵キャラがポリゴンで描かれて、回転とか拡大縮小とかやってくれますが、高速と言われながらも8ビット機であるPCエンジンに、ポリゴンを処理するだけの計算速度はありません。このゲームのポリゴンキャラは、実際には別のコンピュータで描かれたポリゴンデータを2Dのアニメーションパターンに変換したものを使用しています。アーケードカードを使用するのも、その大量のアニメーションパターンのデータを置く場所(メモリ)が必要だったからで、右も左もポリゴンと言う状況に対抗するための力技だったとも言えます。
再現するPSPでの仕様を想像してみる
ビジュアル的には、PSPでポリゴンを使って再現できることは想像に難くありません。しかし、キャラクターを作った当時のポリゴンデータがちゃんと残っているのかどうかが気になります。また、ポリゴンのままにするのとそれを2D化したもの、前者ではグラフィックの雰囲気に影響を与えないか不安が残りますし、後者では手法としては忠実でしょうが時代遅れのようにも思えます。
ゲームシステム自体の仕様も古く(良く言えばオーソドックスなんだけど)、ここも時代遅れの感があります。
で、この前の「完全移植」の話に繋がるのですが、このゲームがどの程度まで再現されるのか、と言うところが全く見通せない、と言うのが最初で最大の不安要素になっています。
オリジナルを持っていないので、手に入れても比較は出来ないというのもあるのですが、同時に移植版がどこまで再現しているのか分からずに「こんなゲームなんだ」と思うようになる事態は出来れば避けておきたいと思っています。
正直なところ、「映像としてみる限りは同じなのに触って分かる部分でぜんぜん違う」と言う経験にもうウンザリしています。文字通りの「完全再現」とか「忠実な移植」がなされたのならそれはそれで結構なのですが、一方でキャラクター以外の要素でこのゲームにそれを求めるだけの魅力があるとも思っていません。
前回にも触れた「ユナ」の忠実すぎる移植同様の仕事をしてくれれば、結果として杞憂に終わるかも知れませんが、これも「ユナ」同様に変更しても良い仕様まで忠実に移植されるものどうかとも思います。ハードの性能や制約・特徴を加味した仕様変更くらいはされるべき*2だと思うのですが、移植の方針が見えないというのは不安を掻き立てます。
明貴氏のキャラは気に入ってますし、それを購入の理由にしてもいいのですが、メインであるはずの「ユナ」を囲む状況からするとこの移植版に明貴氏が積極的に関わっているとは考えにくく、「昔の仕事」をこういう形で見てみたいとは思ってないこともあって、商品の希少性以外に拠り所というか存在価値が見出せないのです。
告知サイトがオープンしたようなので見てみましたが、完全に昔の素材の使い回しですね。イラスト集付らしいですがPSPの解像度じゃなぁ(笑)メディアがUMDだからPCの壁紙にもならん。今のところ安いことだけが救い。3000円未満のソフトにショップがどんな特典を用意してくれるかが判断の分かれ目ッぽい。