博物館と携帯端末

id:koro_Zoさん経由。

PSPW-ZERO3で展示物の解説が読める──国立科学博物館の実験

専用PDAを使った音声ガイドサービスなどを提供している国立科学博物館で、展示物の解説をHTMLファイルで提供し、PSPで表示させる実験を行っている。
 東京・上野の国立科学博物館で、PSPプレイステーション・ポータブル)を使った展示解説コンテンツの提供実験が行われている。これは、同館のWebサイトからコンテンツをダウンロードし、メモリースティックDuoにあらかじめ転送しておいて、博物館で参照しようというもの。普段使い慣れたPSPを同館に持参し、その場で解説と見比べることで、展示物への理解を深めようという趣旨だ。

ころ蔵.さんは「NDSを採用すべき」と言ってますが、この件に関しては実験の目的に適合する端末を選んだ結果だと思います。万能でない製品が市場でトップに立つことは珍しいことではありませんし、実験なんですから市場調査も不要でしょう。


それに元記事の担当者の発言を読めば、NDSがターゲットにされなかった理由は明確です。

PSPWebブラウザが標準装備

まぁ正確にはある時期のファームからですけどね。自分のPSPはブラウザ入ってない*1のありますし…。

館内に無線LANが設置されていない

設置すれば済む、というのは言葉では簡単ですが、設備の維持管理が必要になることを考えれば、コスト面では賢い判断ではないと思います。
今回はコンテンツをHTMLで提供して事前にダウンロード、ハードは来館者の環境に任せる、という方法です。新たな投資は不要で、博物館以外の施設でも導入可能です。
また、ダウンロード先はPSPの場合メモリースティックですから、コンテンツを「残す」のも容易です。


これらのメリットが、DSの使用を前提にするとカベにぶち当たります。
両方のハードを持っているものの一人としては、今回の実験でPSPをターゲットとした判断は正しいと思います。
目的の一つである「中高生の来場者を増やす」事には結びついていないらしいですが、DSを採用したところで結果はそれほど変わらなかったと思います。


それにしても、中高生を博物館に呼ぶってのはやはり難しい。中学生のころ、科学技術館*2に月イチで通っていた経験のある身としても、あの当時の展示が人を呼べるだけのものであったかは少々疑問だった。少し前に思いつきで(約20年ぶりに)足を運んでみたが、ハコ物行政の悪いところが詰まった感じ*3がして、もうちょっと何とかならないものか、という思いを抱いた。
この種の展示というのは、複雑で高度な技術や、膨大な労力を投入した研究の成果を、分かりやすく伝え広めるという使命を背負ってるはずなんだけど、どうもその辺の意識が薄いんではないかと思う。


「悪い意味でこんなところ」で頑張っている米村氏が可哀相になった。

*1:何故入ってないのか、分かる人は分かってるはず

*2:北の丸公園の中にある

*3:バラバラ、貧相、ムダ‥‥まぁよく目に付いた。いつだったか電車の車内吊広告で都内の博物館などを紹介していて、そこで「自転車文化センター」を紹介していたが、写真の印象と実物のギャップに驚いた。あの展示物一つ一つの意味を見て触ったくらいで理解できる素人はいないと思われるが。