相手にならない話

自分の仕事はパソコンに向かってこそいるけれど、通販、つまり接客業です。
いろんな人からメールや電話であれこれ聞かれたりクレームを受けたり。


もちろんこちらに非のあることであれば謝罪するのは当然ですし、先方の怒りをどう鎮めるかと思考をめぐらすのは当然なんだけれども、中には必ずしもそうでない話が飛び込むことがあります。
そりゃ1日数百の注文が来るとなれば、いろいろあるわけでして。

ウチの商材の基本は家電品。たとえば「VIERA」だったらパナソニックの薄型テレビだし、「霧ケ峰」は三菱のエアコン。古いけど「静御前」って日立の洗濯機*1があったっけ。
でもこれって「商品名」であって、シャープのウォーターオーブンはすべて「ヘルシオ」なので、具体的にこれ、と言うときにはその商品の型式(品番)で話をする。当たり前。
もっとも、分からない人には型番だけ見てもサッパリ分からないので、「ウォーターオーブン」とか「地上デジタルチューナー内蔵32V型液晶テレビ」とか、どんな物なのかイメージできるような簡単な商品名を併記してるわけです。お客さんに分かりやすいショッピングサイトを目指すなら、当然のことですけど。
長くなりなしたけど、それでもなお、「こんな物が欲しかったんじゃない」等と言って来る人がいる、と言うのが今のネット通販の現場。


たとえば最近あった例だと、TEKNOSってメーカーのTB-80と言う商品をお届けしたら、「コタツの天板だけ届いた」と怒り心頭。
でも、ウチのサイトには「コタツ天板 TEKNOS TB-80」って明記してるんです。画像も天板だけ。
なのにコタツだと勝手に思いこんで注文して・・・と言う話。


通販はじめてしばらく経ったころ、「注文した冷凍庫を設置場所に置こうとしたが高さが合わなくて収まらない。お宅の(届いた商品が表示されている)ページの一つ上の商品を注文するつもりだったのでそちらに取り替えてくれ」と本気で言ってきたケースも。


こちらは商品の型番を見て品物を手配してお届けする、って仕事をしてるんで、そこに間違いがあるかどうかをチェックするのは(突き放した言い方ですけど)お客さんのするべき事なわけです。
どんな商品か分かるように商品名つけて画像を加えて、お客さん自身に決めてもらう。送り先もお客さん自身で記入する。
だから、注文した商品や届け先に間違いないかメールを送って確認してもらいたいわけです*2
たとえば電気掛け毛布ってサイトに表示してあって実際には電気敷き毛布*3だったとか言うのであればこちらのミスであることは明白ですが、上のようなケースではこちらが何かを間違えたと言う話ではないので、その責任はお客さんの方にあるという事になります。


この話、別の方向につなげることも出来るんだけどそちらと違う方へ。


ちなみに天板のお客さんは、「商品は開梱してない」と言う話だったので送り返してもらったが、思いっきり開梱済み。お客さんの都合での返品だから送料は自己負担というのは当たり前だと思うけど、着払いで送ってきた。
どうにも処理のしようが無いのでメーカーと相談中らしい(直接関わってないので詳細は不明)。
冷凍庫のお客さんは「申し訳ないけど」と前置きして諦めてもらった(自分が対応した)。


これと別のトラブルが先日あって。「自分が注文したのはこれじゃない」の一点張り。
受けた商品と違うものを届けたわけではないってのは明白なんです。サーバにデータを残してるから。
でもどう説明しても自分が間違っていることを受け入れてもらえない。
応対したのは自分ではなかったんだけど、傍でやり取りを聞いていて「どうやっても話が合わない人っているよなぁ。大変だよなぁ」と思ったのでして。


なんでこんな話をしたのかって言うとですね。


多分、英検の長文問題で紹介されていたことを根拠にWikipediaの記述を全面的に信用する人がいたら、その人は医学博士が脳の一部の電気信号を簡易測定して得られた結果から「ゲームに夢中になると痴呆になる」と言う話を真に受けたり、水によい言葉を見せるときれいな結晶が出来て、悪い言葉を見せると汚い結晶が出来ると言う代替医療学博士*4の言う事を信じるんでしょう。


多分それなりの下準備があれば論破することは可能だと思いますが、その種の「あの人が言ってるから正しい」を持ち出す人と議論をするのは大変そうだなぁ、と思った次第。

*1:20年ぐらい前の日立の元旦の新聞広告に日立に関する消費者からのいろんな質問に答える、と言うのがあった。「欲しいものは?」と言う問いに「本社の受付嬢の心」とか洒落の効いた答えが並ぶ面白い広告だったが、この中に「洗濯機に『静御前』があるのに『源義経』が無いのはなぜ?」と言うのがあった。これに対しては「あんな元気なやつが洗うと破れそうだから」「洗濯機で義経の名前を使ってもイメージが湧かない。ネーミングは洒落っ気が無くては。血圧計で『上杉謙信(上過ぎ検診)』」と言うのはどう?」という回答。この精神は「湯効利用」に引き継がれている・・・ってホントか?

*2:でも、実感からすると3〜5%ぐらいまでは見ていない可能性が高い。郵便番号と住所が一致しない、町域名がないと言う注文が時々あるが、お客さんの方から訂正の連絡があったのはほぼゼロ。届け日や運送会社の送り状の番号をメールで送っても電話で問い合わせしてくるケースがあとを絶たない

*3:大きさが違う

*4:この人のプロフィールに「日本に「波動」を広めた第一人者でもある」と言う一説があったが、実際に広めてるのはむしろ毒電波だと思う。