シネフェスのナウシカ

地元駅前のビルから映画館が撤退したのが2011年。元々東映の撮影所やら現像所があったことから「映画のまち」を標榜していた割には、一般人が一番映画に近づける映画館がない、と言う状況が続いていたところに、駅の地下化に伴って空いた地上エリアの再開発の一環でイオンシネマがやってきたのが一昨年秋。以来ちょくちょく通っているんだけども、ここで先月から「シネマフェスティバル」と称してイベントを開催している。

映画のまち調布シネマフェスティバル2019

 

主な上映場所となるシアタス調布側に、企画した団体から「このイベントに合わせて上映したい作品」について打診があったそうで、イベント初日が日本公開からちょうど1周年ということもあって「グレイテスト・ショーマン」をピックアップ。応援上映も開催。自分には珍しく洋画で複数回観に行った作品でもあるので、折角だからとこれを選択。

受付ロビーに主人公のP.T.バーナムのコスプレをしてる人がいて「気合入ってるなぁ」と思ったんだけど、実は前日に日比谷でも上映があったとか、ツイッターで九州から参加すると報告した人が居たと言う前説が支配人からされたら、自分の前に座ってた方がその九州からの人だった。

ミュージカル映画は声出しOKだとコーラス参加だけでも印象変わるなぁ、と実感。

 

 

シネフェスの目玉の一つが「風の谷のナウシカ」の上映。35年前の劇場アニメを再びスクリーンで、と言うのもこんなイベントがなければ実現できなかっただろう。実際自分も映画館で見たのはシアタス調布の傍にあるホールで公開翌年ぐらいだったかに見た程度である。

 

長らくTVで観るものになってしまっていたが、ULTIRAの大スクリーンで観られたこと自体は大変有難いと思った一方で、帰り道でふと考えた。

ナウシカの音声はモノラルである。それ自体はあの時代の作品なら普通といえば普通である。モノラルでもそれ以外の要素が優れているから今でも鑑賞に耐えうるとか言いようがあるわけだ。

今となっては、映画館で観たひとより金曜ロードショーで観た人のほうが遥かに多いことだろう。何度も観たと言ってもさほど大きくもないテレビでCMに中断されながらだった、と言うのも良くありそう。

 

が、ガールズ&パンツァー劇場版での体験を通して「映画館での音響」が体験に与える影響の違いを知ってしまった身としては5.1ch以上の、もし叶うなら「Dolby Atmos向けのナウシカ」を体験してみたい。平たく言うと腐海で蟲たちの鳴き声に囲まれてみたいのである。CMに邪魔されることなく。

 

35年前の映画をたった1週間程度の上映のために音声仕様を変更するとなれば(元の素材も必要なことまで含めれば)、商業的に見てコストが合わないことは容易に想像出来るけれども、そう言う体験があると映画を映画館で見ると言う行為に価値が出るんじゃないかな、と思った次第。

 

しかしシアタス調布はDolby Atmosを導入していなかった事を思い出し現実に戻る。